音楽と舞踊

エキゾチックな魅惑のアンサンブル


マレーシアの多文化、多民族の伝統は、その多様な音楽と舞踊に最も顕著に示されています。マレー、オラン・アスリ、サバやサラワクのその他様々な民族の独特な舞踊は、とてもエキゾチックで魅惑的です。また、マレーシアに移住して来た中国人、インド人、ポルトガル人の伝統舞踊も、マレーシア文化と伝統の一部となりました。

音楽


オーケストラ

マレーシアには、二つの伝統オーケストラが存在します。ガムラン(gamelan)とノバ(nobat)です。インドネシア由来のガムランは、打楽器と弦楽器を用いて非常に優美で軽快なメロディーを奏でる伝統のオーケストラです。ノバは、スルナイ(serunai)や管楽器を用いてより荘厳な音楽を演奏する高貴なオーケストラです。

レバナ・ウビ(Rebana Ubi)

古代マレー王国の時代において、巨大なレバナ・ウビ・ドラムの鳴り響くリズミカルなビートは、危険を知らせる警告や結婚式の合図など、様々なメッセージを伝えるものでした。後に、社会的行事で使う楽器として用いられるようになりました。

コンパン(Kompang)

コンパンは、マレーの伝統楽器の中で、間違いなく最も人気のある楽器です。この楽器は、ナショナルデーのパレードや公式行事、結婚式など、様々な行事で用いられます。タンバリンに似ていますが、鈴はついていません。一般的に、このハンドドラムは、複数人によるアンサンブルで用いられ、異なるリズムが重なり合い、多様なパターンのビートが奏でられます。

ガンブス(Gambus)

ペルシャ人や中東の貿易商によりマレーシアに持ち込まれたガンブスは、マレーの民族音楽、特に、ガザル(Ghazal)音楽のリード楽器として、様々なスタイルで演奏されます。様々な種類の木を用いて作られる微細なこの楽器は、ハープシコードに似た優しい音を奏でます。

サペ(Sape)

サペは、サラワク州の河川上流に住むオラン・ウル族に伝わる伝統的なフルートです。木彫りのカラフルなこの楽器は、中が空洞になった木で作られています。かつては、長屋内での治療セレモニーの時にのみ用いられていましたが、徐々に娯楽用の楽器として使われるようになりました。通常、ンガジャット(Ngajat)やダトゥン・ジュル(Datun Julud)などのダンスに合わせて、テーマ性のある音楽が奏でられます。

舞踊


マレー・マヨン(Malay Mak Yong)

タイ南部のパタニから伝わったマヨンは、男性王族が戦争で留守にしていた時に、女王や王妃を楽しませるためのものであったと伝えられています。ロマンティックなドラマとダンス、オペラのような歌、マレー王族の黄金時代の物語が組み合わせられたマヨンは、魅力あふれる舞踊劇です。

クダ・ケパン(Kuda Kepang)

クダ・ケパンは、移住してきたジャワ人によりジョホール州に伝えられた伝統舞踊です。踊り手は、馬の作り物にまたがり、ドラムやゴング、アンクルンなどのパーカッションが奏でる眠りを誘うようなリズムに合わせて踊り、イスラム聖戦の物語を表現します。

ザピン(Zapin)

イスラムの影響が反映されているのが最も顕著なマレーシアの伝統舞踊は、おそらくザピンでしょう。ザピンは、ジョホール州の人気の舞踊です。中東から来たイスラム教伝導者によりもたらされたザピンは、元々、イスラム文明の歴史を広めるために踊られていました。

ジョゲ(Joget)

マレーシアで最も人気の伝統舞踊であるジョゲは、アップビートのテンポで踊る活力あふれるダンスです。二人一組で、素早くエレガントな動きで陽気に踊るジョゲは、香辛料貿易の時代にマラッカにもたらされたポルトガルのフォークダンスに由来するものです。

タリアン・リリン(Tarian Lilin)

「キャンドルダンス」とも呼ばれているタリアン・リリンは、小さなお皿の上にろうそくを乗せてバランスを取りながら踊る女性による繊細な踊りです。

シラット(Silat)

マレー最古の伝統武術の一つであるシラットは、ダンスの一形式でもあります。華やかな動きの魅力あふれるシラットは、人々の目を引き付けます。

中国獅子舞

通常、チャイニーズ・ニューイヤーのお祭りで踊られる中国獅子舞は、エネルギーにあふれ、人々を楽しませます。伝説によると、獅子は、大みそかに古代の人々を襲った「Nian(年)」と言う神話上の獣を追い払うことのできた唯一の動物であるとされています。完璧な調和とエレガントで強靭な精神を必要とする獅子舞は、中国のドラム「タグ」とシンバルの音に合わせて踊られます。

竜舞

竜は、中国文化において超自然的力、女神、子孫繁栄、警戒、尊厳を象徴する神話上の生き物です。チャイニーズ・ニューイヤーの到来を告げるために踊られる竜舞は、新年に幸運と繁栄をもたらすと言われています。この素晴らしいパフォーマンスは、通常、60人以上のチームで行われ、完璧な調和と技術と優雅さを見せてくれます。

インドのバハラタ・ナティアム(Indian Bharata Natyam)

このクラシックなインドのダンスは、とても抒情的なダンスです。古代インドの叙事詩に基づく、非常に激しくドラマチックなこのダンスは、100通り以上のステップとジェスチャーで構成されます。このダンスを習得するには、何年もの練習が必要です。中には、5歳からこのダンスを習い始める子供もいます。

バハングラ(Bhangra)

バハングラは、シーク(Sikh)族のコミュニティーに伝わる陽気な民俗音楽と踊りです。元々は、収穫を祝うためのダンスでしたが、現在では、結婚式や新年のお祭りなど多くの社会行事で踊られています。ドールや二重ドラムの重厚なビートに乗せたロマンチックなテーマの歌に合わせて踊られるバハングラは、とても魅力ある舞踊です。

サバおよびサラワクのンガジャット(Ngajat)

この戦いのダンスは、サラワクのイバン族の伝統ダンスです。通常、ンガジャットは、ガワイ・クニャラン(Gawai Kenyalang)と呼ばれる「ホーンビル・フェスティバル」の時に踊られます。サラワクで最も恐ろしいと言われている首狩り族の勝者の舞は、元々は、この精巧なお祭りで行われていました。手の込んだ頭飾りをつけ、装飾が施された長い盾を持った男性戦士の踊り手による、ドラマチックなジャンプで構成される魅惑的なダンスです。

ダトゥン・ジュル(Datun Julud)

この「ホーンビル・ダンス」は、サラワクのケニア人女性が踊る伝統舞踊です。ケニアの王妃Nyik Selongにより生み出されたこの舞踊は、幸福と感謝を象徴する踊りです。かつては、首狩りから戻ってきた戦士を迎える時や、米の収穫時期の終わりを告げるために踊られていました。サペの音に合わせて、一人の女性が、サイチョウの羽で作られた美しい扇を持って聖なる鳥の羽を表現します。

スマザウ(Sumazau)

スマザウは、セバ州のカダザン族に伝わる伝統舞踊です。通常、宗教儀式や社会行事で踊られます。豊富な水田の収穫物の精霊を称え、悪を払い、病気を治すために踊られてきました。男女の踊り手が、鳥が飛んでいる様子を模倣する柔らかくゆったりとした一貫した動きで、眠りを誘うようなダンスを舞います。

バンブーダンス

バンブーダンスも、魅力あふれる人気の伝統舞踊の一つです。くるぶしの高さに、二本の長い竹を水平に保ち、ハイテンポのドラムビートに合わせて竹を叩き合わせます。踊り手は、竹にひっかかることなく、機敏に竹の間をジャンプしなければなりません。

オラン・アスリ(Orang Asli)

半島マレーシアのオラン・アスリの伝統舞踊は、彼らの信仰に深く根差したものです。精神世界と交信する儀式の手段として用いられるこれらの伝統舞踊には、マハメリ(Mahmeri)族のゲングラン(Genggulang)や、ジャ・フット(Jah-Hut)族のベルジェロム(Berjerom)、セマイ(Semai)族とテミアル(Temiar)族のセワン(Sewang)などがあげられます。

マラッカのポルトガル人のファラペイラ(Farapeira)

ファラペイラは、素早い動きの陽気なダンスです。通常、ギターやタンバリンの音に合わせて、ポルトガルの伝統衣装を着た男女により踊られます。

ブラニョ(Branyo)

主に古い世代のポルトガル人に人気のあるこの踊りは、ファラペイラよりもゆったりとしたダンスです。男性の踊り手は、カウボーイのような衣装を身にまとい、女性の踊り手は、伝統のバジュ・ケバユとバティク染のサロンを身に着け、ドラムとバイオリンの安定したリズムに合わせて踊ります。